株式会社ティムス代表取締役社長の若林です。
10月15日に、第2四半期累計期間(3月1日~8月31日)について決算報告をさせていただきました。翌16日には、機関投資家・メディア向けの説明会も実施しました。少し時間が経ってしまいましたが、本ブログでもポイントについて簡単に解説したいと思います。
※本ページは、当社の研究開発状況をお伝えするものであり、医薬品の効能・効果を保証するものではありません。記載内容は治験段階の情報を含みます。
- 進行中のTMS-007/JX10グローバル臨床試験「ORION」(Ph2/3)については、中国において最初の投与が実施され、着実に進行していることをご報告しました。20ヶ国・150施設での実施が予定されていますが、公表ベースでは、現時点ではアメリカ・日本・中国・イタリア・スペイン・ブルガリアの6ヶ国です。他の国でもプロセスが進められています。
Corxel社が主導しているため、当社で発表できることは限られますが、可能な範囲で公表をしていきたいと考えています。 - TMS-008については、当社が国内で実施した、健康な成人男性を対象としたPh1試験において、良好な安全性・忍容性を示唆する結果が得られました。TMS-008の最初の適応疾患として考えている急性腎障害(AKI)は、重篤かつ承認薬がない重要な疾患ですが、開発が非常に難しい疾患であるとされている中、TMS-007/JX10の研究開発に携わったチームが、治験デザインの完成に向けて全力を尽くしているところです。
- JX09については、Corxel社がオーストラリアで実施しているPh1試験の結果を待っている状態ですが、同じメカニズムの「アルドステロン合成酵素阻害(ASI)」で大きな動きがありました。3月には米Mineralys社が開発中のLorundrostat、7月にはアストラゼネカ社が開発中のBaxdrostatが、いずれもPh3試験で良好な結果を得て、承認に向けて大きく前進しました。どちらのPh3試験も、二剤以上の降圧剤で効果が得られなかった高血圧患者を対象として、薬剤投与により大きな血圧低下に成功しており、画期的な成果と考えられます。ASIを作用機序とした臨床段階のプログラムはわずかしかなく、いまだPh1段階とはいえ、JX09が注目される可能性があると考えています。
- 前任の稲村取締役の後任として、5月の株主総会において、開発担当の取締役として横田尚久氏が選任されました。横田取締役は、ノバルティスやサノフィといった海外製薬会社の日本法人での勤務が長く、特にサノフィ株式会社においては17年間の長きにわたり勤務し、最後の7年間は研究開発本部長でした。外資製薬企業の研究開発本部長という重職を7年間の長きにわたり務めることは珍しく、経営陣強化につながるものと考えています。
- 四半期終了後の9月になりますが、独立系投資助言会社のPathology Associates社に、当社のカバレッジを開始していただきました。同社がカバレッジしている対象のほとんどはタケダやアステラス等の大手製薬会社であり、名誉なことであると考えています。アナリスト・レポートは主に機関投資家向けであり、一般に公開されないのが残念ですが、当社のパイプラインを高く評価いただいていると考えています。
当社をカバーいただいているアナリストのDr. Dion Stéfan Büchnerは、ハーバード出身の病理医という少し変わったご経歴です。ちなみに、Pathologyというのは病理学のことで、同社の日本語の正式名称は株式会社病理学アソシエイツというそうです。
- 当社は業績予想は公表しておりませんが、期初に費用見込レンジを公表しており、当該レンジは810百万円~1,150百万円となっています。第2四半期累計の当期純損失は487百万円となっており、一ヶ月あたり約80百万円の損失となっています。当期は3月~12月の変則決算(10ヶ月)となっていますが、単純計算では10ヶ月分は800百万円となりますので、当期の費用額・損失額は、売上がない場合は期初の費用見込レンジに収まるか、若干下回るペースで推移しています。
- 第2四半期決算関連のご報告は以上となります。TMS-007/JX10、TMS-008、JX09と、パイプラインは着実に進展しています。パイプライン関連以外でも、当社の強みやポジショニングを活かして、企業価値向上につながるような取り組みができないか、色々と検討しております。公表可能な段になりましたら、順次公表していきたいと考えております。今後も「世界を変えるクスリを創る」ために邁進して参る所存です。引き続き宜しくお願い申し上げます。