当社は創業以来、東京農工大学において微生物から発見されたSMTP(Stachybotrys microspora triprenyl phenol)化合物群の研究開発を軸として発展・成長してまいりました。
中でも、急性期の脳梗塞治療に変革をもたらすことが期待されるTMS-007は、国内で実施された前期第Ⅱ相臨床試験で有効性・安全性の両方において優れた結果を達成することができました。現在は、海外企業との提携の下で、次の臨床試験への準備が進められています。大学の研究室で発見された化合物を、研究段階から着手してグローバル市場に向けた本格的な臨床開発まで進めることは、日本のバイオベンチャーとしては稀なことであると考えており、当社は誇りをもって取り組んでいます。
SMTP化合物の研究開発の経緯は、実験結果の詳細な解析に基づく数多くの事象の発見・発明と、それらを丁寧に検証する作業の積み重ねでした。限られた情報の中で真理を追究するプロセスであったとも言えます。
このような職人的な創薬研究は、現代の巨大化した製薬産業においては稀少化しており、今後このスタイルを反復・発展させることにより、当社は大きな事業機会を得ることができると考えています。
後続の新薬パイプラインとしては、急性腎障害等を適応症とするTMS-008、治療抵抗性高血圧等を適応症とするJX09を中心に開発を進めております。TMS-007に引き続き、未だ確立された有効な治療薬のないこれらの疾患の治療薬開発に向けて取り組んでまいります。
また、外部のサイエンティストとも積極的に協力し、サイエンスに真摯に向き合った創薬プロジェクトを行ってまいりたいと考えており、具体的な活動に着手しています。このような挑戦を通じてブレイクスルー医薬品をいちはやく患者さんに届ける努力をしてまいります。
代表取締役社長
若林 拓朗