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御社の成り立ちについて教えてください。
当社は、2005年に当時東京農工大学教授であった当社取締役会長の蓮見の研究成果を実用化することを目的に設立されました。当初は2つのプログラムがありましたが、2009年頃からSMTP化合物の研究開発に重心を移し、主にTMS-007の開発を推進してきました。
沿革をご覧ください。
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SMTP化合物はどのようにして発見されたのでしょうか。
当社会長の蓮見は、東京農工大学時代に、前任教授であった遠藤章博士(故人)と一緒に研究を進めていました。遠藤博士は、コレステロールを下げる薬(スタチン)の発明者として世界的に有名であり、当初はスタチンを超えるコレステロール低下薬の発見に努めていましたが、1990年代の半ばに、コレステロールがリスク要因となる脳梗塞や心筋梗塞の治療薬候補の発見に舵を切り、その過程で、プラスミノーゲンに作用する化合物として見出されたのがSMTP化合物です。
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重視している経営指標について教えてください。
当社にとっては、パイプラインの魅力度を高めることが最も重要であり、そのためには研究開発から上市までの研究開発プロセスを適切に管理していくことが、当面、最も重要な経営管理と考えております。一方でパイプラインの魅力度は様々な要素が影響するものであり、また数値的な管理がなじみにくいものであると考えているため、客観的な指標等の設定はしておりません。しかしながら、これら開発プロセス及びパイプラインの充実を重要な目標として事業活動を推進しています。
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社員数と内訳を教えてください。
2025年2月末時点で18名です。このうち、女性社員は8名(約44%)となっています。
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提携先のCorxel社について教えてください。
アメリカの有力機関投資家RTWが2019年に設立した、循環代謝性疾患にフォーカスした、グローバル志向のバイオベンチャーです。RTWは、ニューヨークに本拠を置く、ライフサイエンスに特化した非常に高名な機関投資家であり、運用資産残高は約70億ドルです(2025年6月30日現在)。
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Corxel社との資本業務提携において、カントリーリスクをどのように捉えているのでしょうか。
Corxel社のスタッフの多くは中国拠点に所属しているものの、開発ヘッドは米国を拠点としており、また米国拠点のスタッフの増員計画もあり、基本的にはグローバルなバイオベンチャー企業との認識を持っております。なお、Corxel社を設立し、現在も実質的なオーナーであるRTW社はニューヨークを拠点していることからも、中国経済の影響や地政学上の影響を受ける可能性はあるものの、純粋な中国企業と比較するとカントリーリスクは軽微なものではないかと考えております。
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Corxel社との提携内容について教えてください。
開発マイルストーン1,250万ドル、販売マイルストーン3億5,500万ドル、ロイヤリティ 1桁%後半~10%台前半。また、TMS-007の国内開発費の75%(上限1,000万ドル)、JX09の国内開発費の75%(上限500万ドル)が補助されることとなっています。これらとは別に、①TMS-007の国内販売権、②JX09の国内販売権、③Corxel社株式500万ドル相当をアップフロントとして無償で受領しました。
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TMS-007: 優位性について教えてください。
前期第Ⅱ相臨床試験において、非常に優れた有効性と安全性を示唆する結果が得られています。この結果については、これまでに行われてきた多くの脳梗塞治療薬候補の臨床試験結果の中でも、特に優れた結果であったと考えています。TMS-007が持つ、血栓溶解と抗炎症の両方を有する作用機序はユニークなものであり、この性質が大きな要因になったと考えています。
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TMS-007: なぜ脳梗塞治療薬として各国で使われている医薬品は一つしかないのですか。
t-PA(アルテプラーゼ)が米国FDAにより承認されたのは1996年であり、これ以降は新薬の承認はありません(ただし、2025年にアルテプラーゼの改良版であるテネクテプラーゼが承認されています)。数多くの製薬会社やバイオベンチャーが脳梗塞治療薬の開発に挑んできましたが、ほぼ全てが失敗に終わっています。それだけ、脳梗塞治療薬の開発は困難であると考えられます。
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TMS-007: 発症から12時間または24時間後でも効果があると考えられる理由を教えてください。
脳梗塞になった場合、詰まっていない血管からの血流供給を受けて長時間生存する脳細胞(ペナンブラと言います)をどれだけ救えるかが予後に大きく影響します。個人差がありますが、ペナンブラは脳梗塞発症後24~48時間はかなり生存していることが分かっています。TMS-007は、こういったペナンブラを救うことで効果があると考えられます。
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TMS-007: 前期第Ⅱ相臨床試験結果について教えてください。
発症後12時間までの患者さんを対象に、90名の患者さんを組み入れました(TMS-007:52名、プラセボ:38名)。平均の発症後経過時間は9時間台でしたが、TMS-007投与群とプラセボ投与群では、有効性に大きな差がつき、安全性にも問題がありませんでした。
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TMS-007: 前期第Ⅱ相臨床試験における有効性の結果について教えてください。
多くの脳梗塞の臨床試験で有効性の指標と使われている、「90日後 mRS 0~1への転帰率」という指標があります。簡単に言うと、脳梗塞発症から90日後に、ほぼ健康体であった患者さんの割合です。この比率が、TMS-007投与群では40.4%であったのに対し、プラセボ投与群では18.4%と、2倍以上の差になりました。
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TMS-007: 重大な副作用はありませんか。
前期第Ⅱ相臨床試験においては、重大な副作用の懸念はありませんでした。
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TMS-007: 第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験ORIONについて教えてください。
Corxel社が主導する、TMS-007のグローバル第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験であり、発症後4.5~24時間の脳梗塞患者さんを対象として、20ヶ国において150以上の施設で実施される予定です。組入患者数は合計740名を想定しています。当社は、日本における治験依頼者として参加しています。
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TMS-007: 第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験ORIONの進捗状況について教えてください。
Part1(第Ⅱ相)においてグローバルで240人の患者様への投与を予定しておりますが、2025年5月にFPI(最初被験者への投与)が中国で実施され、各国において組入れが進んでいます。なお、各国の投与状況の詳細は非公開情報となります。臨床試験実施予定施設の登録状況については、米国の治験情報サイトClinicalTrials.gov(英語表記:Study Details | NCT06990867 | Optimizing Reperfusion to Improve Outcomes and Neurologic Function | ClinicalTrials.gov)へ掲載されております。なお、2025年10月29日(米国時間)更新の情報において、中国で14施設、米国で9施設、スペインで6施設、イタリア・セルビア・タイで各2施設、ブルガリア・カナダ・ドイツ・日本・マレーシア・韓国で各1施設、計12ヶ国・41施設の登録が完了しております。なお、日本における施設数につきましては、十数施設を予定しております。
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TMS-007: 第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験ORIONにおいて、中間のデータ解析は発表されますか。
当社単独で決められることではなく、Corxel社の意向を確認する必要もありますが、重要な情報であるので、当社としては発表したいと考えております。
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TMS-007: 第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験ORIONの日本パートの進捗状況と想定症例数を教えてください。
現在、実施施設におけるIRB・契約と順次手続を踏んでおります。日本での投与開始時には情報公開を行う予定です。予定症例数については、日本を含め、各国ともに非公開情報となります。ご参考までに、グローバル臨床試験における日本パートの割合は、一般的に5~10%程度となることが多いと考えております。
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TMS-007: 第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験ORIONの日本パートの臨床試験施設は、御社が実施した前期第Ⅱ相臨床試験施設とは異なるのでしょうか。
現時点では全ての実施施設を開示しておりません。前期第Ⅱ相臨床試験と重複している施設もあるものの、今回初めて臨床試験に参加いただく施設も多くあります。
主な理由としては、ORION試験では組入基準として新たな画像解析手法を採用しており、この画像解析手法に対応可能な施設を優先的に対象としているためです。 -
TMS-007: 第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験ORIONが完了すると、承認申請となるのでしょうか。
当社意向としてはその予定ですが、ORION試験の臨床結果や当局の判断等により異なる結果となる可能性も考えられます。
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TMS-007: 上市はいつ頃を想定されていますか。
現時点では明確な時期は申し上げられませんが、ORION試験の終了予定日が2029年末となっており、早くてもそれ以降の時期になるものと思われます。試験結果が良好なものであれば、試験終了からさほど時間を置かない時点での上市も可能と考えています。
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TMS-007: マイルストーンはいつ受け取れますか。
次のマイルストーンは日本以外の地域におけるTMS-007第Ⅲ相臨床試験の5例目投与完了時となる見込みです。これ以外につきましては、非公開情報ですので、回答を差し控えさせいただきます。なお、公開できる状況になりましたら速やかにお知らせいたします。
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TMS-007: 上市された場合に、どのくらいの売上高を想定していますか。
売上高予測については公表はしておりませんが、既存薬であるt-PAの売上高が全世界で約20億ドルを想定されることが参考になります。当社では、TMS-007が上市されると、時間帯の延長(4.5時間→12 or 24時間)や使用率の向上から、t-PAと比較して最大で5~6倍の患者さんに使われる可能性があると考えています。また、t-PAと比較して有効性と安全性の両面で優れていれば、より高い薬価を訴求できる可能性があると考えています。
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TMS-007: 上市された場合、ティムスが受け取れるロイヤリティは年間いくらになりますか。
当社が受け取れるロイヤリティ率は、一桁%台後半から10%台前半の段階的料率となっています。仮にTMS-007の売上高がt-PAとほぼ同様の20億ドルとなった場合は1.2~2.8億ドル(1ドル=150円換算で180~420億円)の範囲、倍の40億ドルとなった場合は2.4~5.6億ドル(1ドル=150円換算で360~630億円)の範囲となります。
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TMS-007: 競合開発品にはどのようなものがありますか。
現時点で複数の競合開発品がありますが、これまでと同様、上市まで到達しないものも多いのではないかと想定しています。その中で当社が注目しているのは、アメリカのベンチャー企業Pharmazz社が開発中のSovateltideです。Sovateltideはインドで既に承認されており、アメリカで第Ⅲ相臨床試験が開始されています。Sovateltideの作用機序はTMS-007とは全く異なりますが、インドで行われた第Ⅲ相臨床試験の結果は、TMS-007の前期第Ⅱ相臨床試験と比肩しうる結果であったと考えられます。
また、中国の大手製薬会社Hengrui Pharmaceuticalsが、TMS-007の誘導体の臨床試験を行っているという情報があります。 -
TMS-007: 御社は日本での開発販売権を持っているそうですが、将来の方針について教えてください。
現時点では特に決まった方針はありません。当社は販売部隊を持っていないことを考えると、販売は他社にお任せすることが自然ですが、現時点で自社販売の可能性を否定するものでもありません。
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TMS-008: 対象とする疾患は何ですか。
公表しております急性腎障害とがん悪液質を含め、複数の疾患を検討しており、これらの中で、急性腎障害を先行して開発を進めています。
急性腎障害は、急激に腎機能が失われる疾患であり、手術や薬剤など様々な発症原因があると考えられています。これまで、急性腎障害を対象として承認された医薬品はなく、大きなアンメット・メディカル・ニーズと考えています。 -
TMS-008: 開発状況について教えてください。
健常人を対象としてTMS-008の安全性等を調べるための第Ⅰ相臨床試験を2024年6月に日本で開始し、2025年6月に完了しました。この試験において、TMS-008の良好な安全性と忍容性を示唆する結果が得られました。次相の臨床試験は、患者さんを対象とした臨床試験になりますが、未だ治療薬のない疾患につき、試験デザインを慎重に検討しているところです。現時点においては、次相の臨床試験開始時期は未定です。
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TMS-008: 御社が持っている権利の内容について教えてください。
当社はCorxel社からTMS-008の特定の適応での全世界における開発販売権を実施許諾されています。
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JX09: 対象とする疾患は何ですか。
「治療抵抗性またはコントロール不良の高血圧(rHTN)」を対象としています。高血圧患者の10~20%程度がrHTN患者であると言われており、日本では約130万人~260万人の対象患者がいると想定しています。
また、JX09のようなアルドステロン合成阻害剤は、慢性腎臓病への効果がある可能性があると考えられています。 -
JX09: 開発状況について教えてください。
現在Corxel社がオーストラリアで第Ⅰ相臨床試験を実施中です。
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JX09: 御社が持っている権利の内容について教えてください。
当社はCorxel社からJX09の日本での開発販売権を実施許諾されています。
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TMS-010: 対象とする疾患は何ですか。
急性期の脊髄損傷治療薬として開発しています。
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TMS-010: 開発状況について教えてください。
2024年7月に北海道大学から導入し、現在は臨床試験の準備として様々な検討を行っている段階です。
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TMS-010: 御社が持っている権利の内容について教えてください。
北海道大学から、脊髄損傷を適応とした全世界での開発販売権の実施許諾を得ています。
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決算期はいつですか。
12月です。
※2025年3月1日から始まる事業年度より、決算期を2月から12月に変更しました。
IRカレンダーに掲載しております。 -
決算発表はいつですか。
2025年3月1日から始まる事業年度より、決算期を2月から12月に変更しました。これに伴い、当該事業年度は2025年3月1日~2025年12月31日までの10か月間となっております。
●2025年度
第1四半期決算発表:7月中旬
第2四半期決算発表:10月中旬
第3四半期決算発表:設定なし
通期決算算発表:2月中旬
※変更年度の2025年度においては第3四半期決算短信の開示は行わず、通期決算短信として2026年2月中旬頃、発表を予定しております。
●2026年度以降
第1四半期決算発表:5月中旬
第2四半期決算発表:8月中旬
第3四半期決算発表:11月中旬
通期決算算発表:2月中旬 -
決算資料はどこで確認できますか。
IRライブラリより、決算説明資料、決算短信がご覧いただけます。
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業績予想を開示していないのはなぜですか。
当社は、現時点では上市した製品を持たず研究開発を進める先行投資の段階であり、当社の業績は導出先からのマイルストーン収入等に大きく左右され予想が困難であることから、業績予想の開示を見合わせる方針といたしました。なお、ロイヤリティ収入等の経常的な収益を安定して見込める状況となりましたら、業績予想の開示を再開いたします。
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株主総会の開催日はいつですか。
毎年3月下旬に定時株主総会の開催を予定しております。開催日の3週間前までに株主総会の資料を掲載する電子提供措置を行い、12月末日現在の株主名簿に登録された議決権を有する株主の皆様に対して、開催日の2週間前までに招集ご通知をお送りします。
※2025年3月1日から始まる事業年度より、決算期を2月から12月に変更しました。これに伴い、定時株主総会の開催予定日を5月下旬から3月下旬に変更いたしました。