株式会社ティムス代表取締役社長の若林です。
今回は、前回のポストを受けてrNPVの重要な構成要素について書く予定でしたが、当社のパートナー企業であるCORXEL社から、開発中の肥満症治療薬候補「CX11」に関するリリースが立て続けに2本出ましたので、予定を変更してこのことについて書きたいと思います。
当社はCORXEL社の株式500万ドル相当(2024年1月時点)を無償取得しており株主であるため、CORXEL社の業績全般について当社の関心事項となります。ちなみに、当社は2025年2月に、CORXEL社から約225万ドルの臨時配当金を受領しています。
CX11は経口の抗肥満薬候補で、作用機序としてはGLP-1受容体作動薬です。同じ作用機序の薬としては、いま大きな話題になっている、肥満症治療薬ウゴービや糖尿病治療薬マンジャロ(同成分の肥満症向け製品であるゼップバウンドが承認)と同じですが、ウゴービやマンジャロが注射剤なのに対して、CX11は経口剤(飲み薬)という違いがあります。
GLP-1受容体作動薬の経口剤としては、ノボノルディスクの「ウゴービ」の錠剤タイプが2026年1月から米国で発売されており、イーライリリーは「ファウンダヨ」のFDA承認を2026年4月に取得しました。また、他にも数社が第Ⅲ相試験を実施している状況です。CORXEL社のCX11は、これらを含めた企業群と、1,000億ドルとも2,000億ドルとも(日本円で約15兆~30兆円)、あるいはそれ以上とも言われる肥満症治療領域で競争していることになります。
CORXEL社のリリースですが、2件あります。まず、CX11の導出元であるVincentage Therapeutics社が、中国での第Ⅲ相臨床試験に成功したという記事です(2026年5月18日)。
もう1件は、CORXEL社が実施していた米国での第Ⅱ相臨床試験のポジティブな結果についてです(2026年6月23日)。
私は肥満症領域の専門家ではありませんし、あくまでも個人的な考えですが、胃腸系の副作用による治験中止率が比較的低いように見える(中国での試験では1.8%、米国での試験は5%程度)のは注目すべき点ではないかと思います。GLP-1受容体作動薬は、胃腸系の副作用が問題になることが多いからです。
肥満治療のマーケットは、市場規模が大きいだけに競争が激しくなっており複雑化しています。このあたりは、CORXEL社の大株主でもあるRTW(米国の機関投資家)によるコラムも参考になると思います。