株式会社ティムス代表取締役社長の若林です。

1月27日に、当社の提携先であるCorxel Pharmaceuticals(以下「CORXEL社」)の2億8,700万ドルの資金調達について書きました。この機会に、さまざまなお問い合わせをいただいていますので、CORXEL社と、CORXEL社に大きく関わる投資会社RTW Investments(以下「RTW社」)について簡単に解説してみようと思います。

当社とCORXEL社は、TMS-007/JX10、TMS-008、JX09と、3つの臨床パイプラインについて提携関係にあります。それぞれ提携の態様は異なりますが、本記事では提携の詳細については省略いたします。

※本ページは、当社の研究開発状況をお伝えするものであり、医薬品の効能・効果を保証するものではありません。記載内容は治験段階の情報を含みます。

創薬分野を代表する機関投資家RTW Investments

RTW社は、2009年に設立された、米国ニューヨークに本拠を持つ機関投資家です。私見にはなりますが、創薬分野に特化した機関投資家として、規模・質・評判等を総合的に判断すると、世界トップ5に入る機関投資家だと思います。他に有力な投資家としては、OrbimedやRA Capitalが有名です。

RTW社は米国SECにファイリングしており、その範囲で公開情報を入手できます。Hedge Followでは、2025年9月末時点の運用資産額は81.2億ドル($1=158円換算で約1.2兆円)となっています。そのほとんどがヘルスケア分野に投資されていることも分かります。LinkedInのプロフィールによると、スタッフの数は130人です。

そのRTW社ですが、メインとなる投資対象は上場会社です。最近は未上場の会社にも投資をしているようで、ベンチャーキャピタルとしても存在感を増しつつあります。こういった、上場会社と未上場会社の両方に投資するスタイルをクロスオーバー投資家ということもあります。

RTW社はベンチャー企業をゼロから立ち上げることもあり、これまで3社を立ち上げています。CORXEL社はその中の一つです。RTW社のようなトップクラス(私見)の投資家が設立し、現在も実質的にコントロール(株式の過半数を保有)しているわけですから、その戦略は優秀だと考えるのが妥当だと思います。

実際、RTW社は多くのアナリストを抱えており、CORXEL社が当社と提携する際も、世界中で開発中の脳梗塞治療薬候補を徹底的に調査したうえでTMS-007/JX10を選んだと聞いています。

CORXELの成り立ちと、グローバル創薬ベンチャーへの転換

上述のように、CORXEL社は2019年にRTW社により創設されました。初代のCEOは、RTW社のPresidentであるPeter Fong氏です。

CORXEL社の当初の戦略は、欧米で後期臨床試験中の医薬品候補の中国での権利を獲得し、中国市場向けに開発・販売するというものでした。ドラッグラグ解消のようなビジネスモデルです。当時のパイプラインとしては、症候性閉塞性肥大型心筋症の治療薬として注目されていたaficamten(2025年に米国で承認)や、面白いところでは老眼の治療薬などもありました。

この頃は、社名も中国語の箕星(JI Xing:「ジシン」と読みます)で、スタッフの多くが中国に所在していましたから、中国企業であるという誤解を招きやすかったのかもしれません。

その後、2023年頃に戦略を転換し、グローバルな創薬ベンチャーへと舵を切りました。CORXEL社がTMS-007/JX10をバイオジェンから譲り受けたのも、この戦略転換の一環です。現在の主力パイプラインは、JX09(治療抵抗性高血圧)、JX10(急性期脳梗塞)、CX11(肥満)となっています。

JX09およびJX10/TMS-007については、当社が日本の権利を有しています。JX10/TMS-007は、言うまでもなく当社が最初の開発者で、日本以外の地域でCORXEL社が販売した場合には、当社にロイヤリティが入ってくるという建付けです。JX09は、アルドステロン合成阻害という作用機序の医薬品候補ですが、この作用機序は昨年からホットになってきていますので、機会があればティムス通信で書きたいと思います。CX11は経口のGLP-1作動薬で、こちらも非常にホットな領域で投資家の関心が非常に高いようです。

 

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RTWとCORXELの存在が示す、TMS-007/JX10の評価と今後

世界でも有力な投資家RTW社に支えられたCORXEL社は、非常に優れた提携先と考えます。以前の提携先であったバイオジェン社も、脳神経分野では世界有数の会社です。TMS-007/JX10は、これほどまで優良な提携先をひきつけるだけの魅力を持った開発品です。進行中のORION試験をつつがなく進めることができるよう、全力を尽くしてまいります!


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