本邦における高血圧患者数は 約3,200 万人にも上りますが、3 種類以上の降圧薬を内服しても降圧目標に達しない治療抵抗性高血圧は、全高血圧患者の5-10%程度に上ると推定されています。

 

現在の高血圧治療薬は、血圧を調整する、レニン-アンジオテンシン系を標的とし、主にレニンやアンジオテンシンに作用する薬剤が開発されてきました。しかしながら、これら薬剤の治療継続により、薬効が得られなくなってしまうアルドステロン・ブレイクスルーが見られる患者が存在し、治療抵抗性高血圧の大きな原因になっていると考えられています 2) 。また、元々アルドステロンが過剰分泌されている原発性アルドステロン患者も高血圧患者の5-15%程度存在していると言われています 1) 。こうした治療抵抗性高血圧の患者は、より下流であるアルドステロンを制御すれば、血圧降下が得られる可能性があります。既に、アルドステロンが作用する受容体であるミネラルコルチコイドに対する拮抗剤は上市されているものの、アルドステロンはミネラルコルチコイドを介さない作用も有しており 3,4) 、必ずしも十分な薬効が得られていません。そこで、新たなアプローチとして浮上してきたのが、アルドステロン合成阻害剤です。

JX09は、治療抵抗性又は制御不能な高血圧患者さんの治療を適応としてJIXINGが開発中の、経口の低分子アルドステロン合成阻害剤です。アルドステロン合成阻害剤は、標的であるアルドステロン合成酵素(CYP11b2)のみを阻害し、非常に構造が似ている別の酵素(CYP11b1)に対する阻害活性が低いことが重要と考えられています。非臨床データでは、JX09は、CYP11b1の生物学的機能にほとんど影響を与えずに、アルドステロン合成酵素を高い選択性でかつ強力に阻害する効力を有することが示唆されています。また、JX09は、非臨床試験における良好な安全性プロファイル 5) を示しており、その高活性および高い酵素阻害選択性 6、ならびに薬物動態 5) を考慮しますとベスト・イン・クラスの治療薬となる可能性があります。

 

高血圧剤の中でのアルドステロン合成阻害剤の位置づけ

 

 

JIXINGは、2024年にJX09の第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
当社は、JX09の日本における開発権を所有していますので、JIXINGと連携して効率的に開発を進め、一日も早くJX09を臨床現場に届け、患者の健康に貢献したいと考えています。

 

 

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参考資料:

  1. 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編 高血圧治療ガイドライン2019. 
  2. Mogi M, Aldosterone breakthrough from a pharmacological perspective, Hypertens Res 2022; 45: 967-975
  3. Sato A, Saruta T, Aldosterone Breakthrough During Angiotensin-Covering Enzyme Inhibitor Therapy, Am J Hypertens 2003; 16: 781-788
  4. Hitoshi Ando, Inhibition of aldosterone synthase: Does this offer advantages compared with the blockade of mineralocorticoid receptors? Hypertens Res 2023; 46:1056-1057
  5. Pitt B, et al, Inhibition Of Aldosterone Synthesis In Non-Human Primates By PB6440, The Novel Highly Selective And Potent CYP11B2 Inhibitor, Hypertension 2020; 76: AP233.
  6. Lee J, et al, Abstract 121: The Selective Aldosterone Synthase Inhibitor PB6440 Normalizes Blood Pressure In A Human Aldosterone Synthase-Transgenic Mouse Model Of Hypertension, Hypertension 2022; 79:A121